こんにちは!
COCOPORT豊中です。
今回は、先日行いましたプログラムをご紹介いたします。
当事業所では「セルフケア講座」を定期的に行っています。
「自己管理能力」を高めることで、就労に向け心や身体を整えていこうというプログラムです。
健康管理や休息のとり方、心の守り方など、分野は多岐にわたりますが、今回は「ふつう」についてみなさんで考えてみました。
「普通はこういう風に考えるよね」「普通はこのようにふるまうよね」
…このように言われた経験を、ほとんどの方がお持ちなのではないでしょうか。
また、自分が当たり前だと思ってとった言動が、周りの人にとってはそうでなかったこともあるかもしれません。
この、わかっているような、わからないような、「ふつう」という概念。
使う側に悪気はないけれど、時に人を傷つけてしまうことも起こり得ます。
必要以上に傷ついたり傷つけたりすることのないよう、「ふつう」とは何かを考えてみることをテーマに講座を行いました。
まず、「普通とは何か」をテーマに描かれた絵本をみなさんにご覧いただきました。
・「それが普通」と考える人の割合が何%なら普通になるのか?
・国や地域で変わるのか?
・良い意味にもなれば悪い意味にもなる?
など、考えを深めていくための、さまざまな視点が見つかりました。
次に、「これが普通だと周りから言われたこと」「自分では普通だと思うが周りはそうでなかったこと」など、今まで経験されたエピソードをみなさんから出していただきました。
・冬はあたたかい服を着る(冬も半袖短パンの友人に驚いた)
・豆腐を食べるのはスプーンではなくお箸(スプーンで食べて驚かれた)
・夏は湯船につからずシャワーで済ませる
・自分の年代の男性はドラゴンボールが好き
・年上の人に対しては敬語を使う
など、日頃の生活の中で感じてこられた、普通とされることをたくさん挙げていただきました。
また、
・たいていの女性は「かわいい」と言われると喜ぶ
・父親という存在はきびしいもの
・他人に対して「好き」「嫌い」といった感覚が、自身は周りにくらべてうすい
など、ご自身の体験を深く洞察された中から生まれた「普通」についてのご意見もたくさん出ました。
それらのご意見から、「普通」と言っても、
「多くの人が知っている生活の知恵」
「自身の経験・身近な人たちの様子から、世の中全体もそうだと思っていたこと」
「その集団の中だけで通じるルール」
「誰が作ったかはわからないが、何となく理想だとされていること」
など、さまざまな種類があることがわかってきました。
そして、
「自分と周りの違いに気づくことで自己分析できる」
「ズレを発見することで、それが話題となって広がっていく」
「これが普通だ、という感覚をあえて作らないようにしている」
「普通、とされていることのレベルが昔よりも上がっているのではないか」
「そもそも、普通とは何かなんて考えても仕方がないのではないか」
と、深く考えさせられるようなご意見がたくさん挙がりました。
どれも、すばらしいご意見だと思います。
全ての人が納得する答えはありません。だからこそ、自分とは違うさまざまな考えを聞くことが大切なのではないでしょうか。
さまざまな考えを聞くということは、自分の中にさまざまな視点が生まれるということだと思います。
そうやって深めていくことが自分の考えを育てることにつながり、他の人の言葉に心が揺るがなくなっていくのかもしれません。
また、物事を正しいか正しくないか、のように白黒はっきりつけず、「いろんな考え方があるよね」とグレーのままで置いておけるような余裕も生まれてくるかもしれません。
「普通とはあいまいなものだということがわかった」というご感想が、とても印象に残りました。
あいまいなものについて考えるのは難しく、進め方に課題も見つかりましたが、また機会があればこのようなプログラムも実施したいと思います。
ご参加くださった利用者のみなさま、ありがとうございました。